簡単なはずの文章題でつまずく子どもたち…その原因は?
- 加藤ちか

- 9月14日
- 読了時間: 5分
まなべるあそびばに来てくれる子どもたちが、
どんぐり問題を解くようになって1ヶ月ほど。
昨日、ものすごく成長を実感する瞬間がありました🌱
「土台となる思考回路が定着したんだな」
そんな考察をしています🔍
そのきっかけとなったのが、
体験に来た子に必ず挑戦してもらう通称「カメ問題」
今日は、このカメ問題を奮闘する子どもたちの姿から、
“考える力の回路がつながる瞬間”についてお話します。
超難問!?カメ問題とは?
小学校1年生向けの文章題。
ずばり、こちらです↓
あかいカメと しろいカメが います。あかいカメは しろいカメより 6ぴき おおいです。いま、かぞえたら、あかいカメは 8ひき でした。 では、みんなで カメは なんびき いるのでしょう。
大人から見ると「こんなの簡単じゃん!」と思うのですが…
実際には、3年生でもフリーズする子が出るんです。
まだ“回路”ができていない
でもこの問題、
大人でも瞬間的には答えられません。
頭の中ではこんなやり取りが行われています。
①あかいカメと しろいカメが います。
(頭の中)赤と白の縁起の良さそうなカメを想像する
②あかいカメは しろいカメより 6ぴき おおいです。
(頭の中)何匹かはわからないけど、赤いカメが6匹くらい多い絵を想像する
③いま、かぞえたら、あかいカメは 8ひき でした。
(頭の中)赤いカメの数が確定
④ってことは、白いカメの方が6匹少ないから・・・
(頭の中)白いカメが2匹のイメージが出る
⑤つまり、8+2=10匹だ!
(頭の中)赤と白のカメがはっきり10匹いる
簡単ですね~
しかし、低学年の子どもはどうでしょう?
何がわからなくてフリーズしてしまうのでしょうか?
実は、まだ低学年のうちは、
「文字や数字を読んで、
その内容を正確に頭の中にイメージを浮かべる」
という回路そのものが未熟なのです。
「赤いカメが白いカメより6匹多い」という文章は、
赤いカメも白いカメも何匹か分からないから
パッと絵や映像が浮かばない。
条件が曖昧なまま数字だけが提示されると、
頭の中にイメージを作れずフリーズしてしまうのです。
そうなると、
次に赤いカメの数が確定しても
そこから思考がつながっていかないのです。
“考えない”癖がつく学び方
小1向けの学校の宿題やドリル学習の文章題はこんな感じ。
あかいカメが8匹います。しろいカメはあかいカメより6匹少ないそうです。 しろいカメは何匹でしょう?
なんと単純!!
これなら複雑さがないので、
一単語ずつ丁寧に頭の中でイメージを描かなくても解けてしまいます。
しかもプリント学習では同じ型の問題を繰り返すので──
「多い」って書いてあったら足し算
「少ない」なら引き算
こんな“やり方暗記”で正解できてしまう。
その結果、「文字や数字を読んでもイメージを出さない」癖がついてしまうのです。
(読んでるようで文字を追ってるだけで、何も頭に入っていない現象ですね。)
だから初めて複雑な文章題に出会ったとき、
問題を解くのに必要な回路を使えなくて、
まったく歯が立たないのです。
誰にでもある力
ただしこの文字や数字からイメージを想起する力は、
才能や遺伝の問題ではありません。
人間であれば誰にでも備わっています。
違いは「その回路を使った経験があるかないか」だけ。
そしてこの回路は、
より複雑な思考回路をつくる土台になります。
だからこそ、早いうちに定着させ、
新しい回路をどんどん増やしていく必要があるんです。
低学年のうちが思考回路育成のゴールデンタイム!
10歳頃までの脳の成長にはこんな特徴があります👇
考えるたびに脳の中で回路がつながる
よく使う回路はどんどん太くなる
逆に使わない回路は整理されて消えていく
そして残酷な事実。脳には、
「12歳ごろに使っていない回路を整理する」
という機能があります。
これは脳のエネルギーを節約するために誰にでも起こる自然な仕組みです。
つまり──
12歳までに思考回路を使っていなければ、
その後の人生で新しい回路を増やすのはほとんど不可能。
しかも現代は超情報社会。
ゲームや動画は情報がすでに映像化されているので、
自分でイメージを立ち上げる機会が少ないのです。
現代の子どもたちは、
日常生活ではイメージを想起する回路が育ちにくい環境にあるのです。
回路がつながる瞬間
とはいえ、
カメ問題も最初は大苦戦する子どもたちですが…
時間をかけてうーんとうなっているうちに、
ある瞬間、バチバチっと回路がつながります。
音が聞こえるような衝撃とともに
「わかった!」という快感が訪れる⚡
その時の子どもの表情は本当に素晴らしいんです✨
面白いことに、
一度回路ができると、
あれほど苦戦した問題が
「なんでできなかったんだろう?」
と思えるほど簡単に見えてくる。
新しい回路が定着し、
無意識に使えるようになるからです。
“ひらめき”が学びを楽しくする
この「ひらめきの瞬間」を体験すると、
子どもは一気に表情が変わります。
普通の文章題は嫌がるのに、
この複雑な問題は「またやりたい!」と言う。
それは、この気持ちよさを知ってしまったからです。
学びが「楽しいもの」に変わる原点は、ここにあります。
今だからできること
だからこそ大切なのは、
低学年のうちから少しずつでいい。
自分の頭でイメージを描き、
考える回路を使う体験を積み重ねることです。
子どもが「わかった!」と自力でひらめいた瞬間に、
脳の中で回路は確実につながり、
未来へ続く大きな財産になります。
まなべるあそびばでは、ドリルや暗記ではなく、
文章題を絵に描きながらじっくり考える算数に取り組みます。
最初は難しく感じても、必ず「ひらめきの瞬間」がやってきます。
そのときの子どもの表情は、本当に輝いているんです✨
「うちの子にも、この体験をさせてみたい」
そう思ったら、ぜひ一度体験にお越しください。
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